哲学辞典 (や〜よ)
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「や」で始まる用語はありません。
 

 

有時

いはゆる有時は、時すでに有なり、有はみな時なり。丈六金身これ時なり、時なるがゆゑに時の荘厳光明あり。

われを排列しおきて尽界とせり。

しかあれば、松も時なり、竹も時なり。

要をとりていはば、尽界にあらゆる尽有は、つらなりながら時々なり。有時なるによりて吾有時なり。

有時に経歴の功徳あり。いはゆる今日より明日へ経歴す、今日より昨日に経歴す、昨日より今日へ経歴す。今日より今日へ経歴す、明日より明日へ経歴す。経歴はそれ時の功徳なるがゆゑに。

わがいま尽力経歴にあらざれば、一法一物も現成することなし、経歴することなしと参学すべし。

訳注 水野弥穂子

(道元禅師全集・正法眼蔵・有時・文芸春秋社)

ゆとり

ぼくはいろんなことをしてみたが、当然のことにそれは過去になっていく。ものを知ったり考えたりするのだって、忘れて鈍くなって、結局残っているのは、自分ひとりの味のように思う。ゆとりというのは、金や時間の問題ではなくて、自分の味のことだろう。人生の目的というものは、そのときどきで目標を持つことはあっても、結局はこの自分の味にゆとりを持たすことしかないと思う。

(ぼくはいくじなしと、ここに宣言する・森 毅・青土社) 


 

吉本隆明

政治・経済・から思想・文学に至るまで、すべての文言にた対し、愚直なほど真摯であり、また、単なる思い付きではなく、できうる限り資料や文献にあたり、時間をかけて深く考え、時には分かりにくい造語を使ってでも、思考・文章とも借り物ではないオリジナルに徹することを心がけている。
(読んでもたかだか5万冊・安原顕・清流出版)

読んでいない本について

われわれは読んでいない本の中身をどうやって知ったのでしょうか。第一、「書物からは波動のようなものが伝わってきた。第二の説明、何度も本の並べ替えをしているうちに、手にとってぱらぱらめくった。第三の答えは「それだけの年月を経るうちに、その本について触れている別の本をたくさん読んだ」つまり、読んでいない本について何か知るのには、いくつもの方法があるのです。でなければ、同じ本を四回も読むひまなんかどこにあるでしょう。
(今すぐ絶滅するという紙の書物について・エーコ・カリエール。工藤妙子訳・阪急コミニュケーションズ)


 


 

 
 
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