淡海の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 情もしのに 古思ほゆ 淡海 おおみ 情 こころ
柿本人麻呂
沖つ波 よる荒磯を 敷栲の 枕と枕きて 寝せる君かも 敷栲 しきたえ 枕きて しきて
柿本人麻呂
留火の 明石大門 に入る日にか 漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず 留火 ともしび
柿本人麻呂
藤波の 花は盛りに なりにけり 平城の京を 思はすや君 平城 なら 京 みやこ
大伴四綱
春されば まづ咲く 宿の梅の花 独り見つつや 春日暮らさむ
筑前守山上大夫
去年見てし 秋の月夜は 照らせども 相見し妹は いや年さかる 去年 こぞ 妹 いも
世間を 何に譬えむ 朝びらき 漕ぎ去にし船の 跡なきがごと 世間 よのなか 去にし いにし
紗弥満斎 |