文芸辞典 (や〜よ)
 
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大和言葉

舞台の言葉は、大和言葉で書かないと駄目だと思っています。大和言葉は、「走る」「寝る」のように基本t語が多く理解が早いからです。
つまり「洗濯」より「洗う」と言った方が、お客さんの反応がちょっと違うのです。
(井上ひさし・ふかいことをおもしろく・php研究所)

山中無暦日

偶来松樹下 高枕石頭眠

山中無暦日 寒尽不知年

唐 大上隠者

(晩晴館通信56号 加島祥三)

 

山村暮鳥
 


しっかりと
にぎつていた手を
ひらいてみた

ひらいてみたが
なんにも
なかった

しつかりと
にぎらせたのも
さびしさである

それをまた
ひらかせたのも
さびしさである

「山村は完成期をまたずに死んだということが、後期作品に当然在るものが遂に見られなかつたことを意味するのである。ああいう敏感と勉強と学識とを持っていた人が、この時代まで辿り着いていたなら、かならず私の驚くものを眼に見せてくれたのであろう。詩人は早く死んではならない。何が何でも生きぬいて書いていなければならないのだ。
室生犀星。我が愛する詩人の伝記

柳田国男


生涯「不可視のものの探求者であり」、不可視」とは「神であり、他界であり、信仰であり」、彼の学問の本質は「神の発見」(折口信夫)だった。
ぜんぶ本の話・安原顕。ジャパン・ミックス

山本健吉

「俳句私見」昭和58年1月30日文芸春秋

即興と眼前体

滑稽・挨拶・即興

言ひ了せて何かある

八代秋雄

「室内楽全作品」 カメラータ・トウキョウ

遠藤周作氏推奨のレコード

山川登美子(歌人1879(明治12)年7月19日〜1909(明治42)年4月15日))

髪ながき少女とうまれしろ百合に額(ぬか)は伏せつつ君をこそ思へ

恋せじと書かせたまふか琴にしてともにと植ゑし桐のおち葉に

手もふれぬ琴柱(ことぢ)たふれてうらめしき音をたてわたる秋の夕かぜ

この塚のぬしを語るな名を問ふなただすみれぐさひとむら植ゑませ

虹もまた消えゆくものかわがためにこの地この空恋は残るに

(研究書 山川登美子全集 坂本政親編、昭48、2 上下 光彩社)

山手樹一郎

男というものを知っている女」にもてる男を書いた。山手樹一郎「短編全集
(人生後半に読むべき本・谷沢永一・渡辺昇一・php)

安原顕

そもそもぼくの関わっている文学・思想界は、極端に閉鎖的  業界のため、すべてが「快・不快」「うい奴=褒め殺し/無礼者=無視(陰での悪口)」といった情緒的尺度でのみ処理され、喧嘩(論争)になることなど皆無の世界なのだ。
(読んでもたかだか5万冊・安原顕・清流社)

安原顕の評価している人間

中村慎一郎(私の履歴書・ふらんす堂)、柴田南雄・岩波書店)須賀敦子(ユルスナールの靴・川出文庫)、鹿島茂(子供より古書が大事と思いたい・文春文庫)、椎名誠(本の雑誌血風録・新潮文庫)、瀬戸内寂聴(つれなかりせばなかなかに・中公文庫)、小林信彦(和菓子屋の息子・新潮文庫)、徳岡孝夫(五衰の人・文春文庫)三枝成彰、深沢七郎、筒井康隆、山藤章二、ブコウスキー、内田春菊、小川洋子、吉本隆明

そうでない人

渡辺直己、蓮見重彦、柄谷行人、浅 田彰

 


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A BOAT, beneath a sunny sky      
   Lingering onward dreamily       
   I n an evening of July ー         
                        (中略)
 In a Wonderland they lie,         
   Dreaming as the days go by,       
   Dreaming as the summers die:      

   Ever drifting down the stream ー    
   Lingering in the golden gleam ー    
   Life, what is it but a dream?         
 

    小舟が一艘 夏空に
  夢見心地にたゆたいて
  ある7月の昼下がり

 
  不思議の国にまどろみて
 日々のまにまに夢を見る
 逝く夏のように夢を見る

 流れに沿って流されて
 金の光にたゆたいて
 人生、それはただの夢

 (キヤロル)

We are such stuff as dreams are made on,    
And our little life is rounded with a sleep.

 我らみな 夢と同質
 我らの命は 眠りの中
 ( シェイクスピア テンペスト )
Alice in Tokyoより)
  

ゆべの残り

朝のシーンの献立を書くために、昔の自分の家の食卓を思い出すのが楽しいと向田さんは言っ

ていた。

ある日台本を貰ったら、いろいろといつものようにメニューが並んだ最後に、(ゆうべのカレー

残り)と書いてあった。

「貫太郎一家・今朝の献立、ほうれん草の胡麻和え・・・・・・ゆうべのカレーの残り) (テロップ)

考えた末、其の朝の献立をそのままテロップで朝食のシーンに出すことにした。反響がすごかっ

た。(テレビドラマ・貫太郎一家・演出・久世光彦)

(ゆべのカレーの残り)には小さな人生の真実がこめられいたのである。

人の世の毎日は(ゆうべの残り)を引きずりながら、次の日へ、また次の日へとつながってゆく。

〔触れもせで・久世光彦・講談社)

 指一本

もし、あなたのまわりに、長いこと親しくしているくせに、指一本触ったことがない人がいたら、そ

の人を大切になさい。

私にとって向田さんは、偉い人でもなく、どこにでもいそうで、どこにもいない、そんな人だった。

つまり、二十年、体のどこにも一度も触ったこともないという、其の程度のひとだった。だ

からこそ、いつまでたっても思い切れない人なのかもしれない。

〔触れもせで・久世光彦・講談社)



夢とは、あくまでもないものという否定である。従って夢を実現するというのは、夢ではない(否

定)ことをなくす(否定)という二重否定である。デザインの本質は夢のまた夢でいいのかもし

れない。この論理をさらにこじつけて言えば、夢のまた夢を実現するのがデザインにほかならな

い。デザインされたモノは、本物でなければならない。
デザインは言語道断・川崎和男。(株)アスキー


夢野久作


1889年福岡県生まれ。僧侶、農園経営、新聞記者などを経て、作家に。幻想的な狂気の世界を描く作風に特徴がある。1936年没。代表作「ドグラ・マグラ」10年以上にわたる書き直しを経て35年に発行された
(コンピュータのきもち・山形浩生。アスキ


湯豆腐

一人の方がしみじみとした味のある食物や飲物がある。湯豆腐はまさに一人向きの食べ物である。湯豆腐の侘しさは宿命的な侘しさである。寒い夜、独酌の酒を飲みながら湯豆腐を食う。そんなとき、人は将来の夢は描かず、過ぎし方を振り返る。湯豆腐には回想があるのだ
「湯豆腐や 一人の夜の 味が沁み

(写真俳句のすすめ・森村誠一・スパイス社)


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吉野秀雄

真命の
極みに堪えて
ししむらを
敢えてゆだねし
わぎも子
あはれ

これやこの
一期のいのち
炎たち
せよと迫りし
吾妹よ吾妹

ひしがれて
あいろもわかず
堕地獄の
やぶれかぶれに
五体震はす

(エロテシズムの詩歌。志摩芳次郎著・壮絶な夫婦愛の歌・三崎書房)




横井小楠
 

「学を成すには、今是にして昨非なるを覚るべし。日に更まり月に化する、これこそ長進。」

閑臥秋風人事稀 高山流水入吟詩 倦来又伴隣翁去 紅蓼州頭釣落暉

朝顔の花が見たくて起きにけり

「小楠は、徳川幕府末期の気侭勝手な時代に、早くも世界の平和にこころをひそめていた。」(徳富蘆花

北里柴三郎は、若年の頃小楠先生の意気に感奮し、伝染病の研究に一生をささげた。
内藤濯・落穂拾いの記。岩波書店


傭兵


ヴァチカン法王庁の番兵は、いまだにスイスから来ていて槍をもって立つている。
ヴェネチァ共和国の傭兵隊長カルマニョーラ。戦争が商売であるなら、それはできるだけ長引かせるものであり、雇用主を徹底的に搾取すべきものである。さらに相手国側の軍隊も傭兵で
あってみれば、いかにして相互の損害を少なくするか、また寒さや雨などの肉体的不快を如何にして軽減するかについて、お互いに秘技を尽くして交渉が行われていたのである。
このきわめて人間的な技術の一つとしての戦争を破壊してしまった代表的人物の一人が、ナポレオンなのである。彼が類のない国民軍というものを組織したとき、その時以降、その国民軍に属する者以外の者もまたすべて敵であり、敵は殺すべきものとなる。智慧と技術はすべて殺すことに集中しなければならなくなる。皆殺し戦争の登場である。
(聖者の行進・堀田善衛。徳間書店。)
            

容姿


「容姿端麗」「かたち」「容姿の美しさ」というのは、モノのかたちをデザインするうえでの目標であり目的である。「容貌風姿」「容姿端麗」とは、立ち居、振る舞いがいかに淡泊清廉であるべきかを平常心として保持する態度にあった。人はオーラルコミニュケーションよりも、パフォーマンスコミュニケーションによる理解が全体の七割お占めるという。米国のデザイン学部は、パフォーマンスは芸術的かつ遠劇的であるという考え方に基づき、身振りのデザインの専門家教育を実践している。
デザインは言語道断・川崎和男。(株)アスキー)

吉本隆明

(「食」を語る  聞き手 宇田川 悟 朝日新聞社)

文章修行の方法論

文学の便利なところは誰でも10年間書いていれば一人前になれます。

詠み人知らず

relax

If I had my life to live over, I'd dare to make more mistakes next time.
I'd relax.. I would limber up. I would be sillier than I have been this trip.
I would take fewer things seriuously. I would take more chances.
I would climb more mountains and swim more rivers.
I would eat more ice cream and not so many beans.
I would perhaps have more actual troubles, but I'd have fewer imaginary ones.

You see, I'm one of those people who live sensibly and sanely hour after hour, day after day.
Oh, I've had my moments, and if I had it to do over again, I'd have more of them.
In fact, I'd try to have nothing else. Just moments, one after another, instead of living so many years ahead of each day.
I've been one of those persons who never go anywhere without a thermometer, a hot water bottle, a raincoat and a parachute.
If I had to do it again, I would travel lighter than I have.

If I had my life to live over, I would go barefoot earlier in the spring and stay that way later in the fall.
I would go to more dances. I would ride more merry-go-rounds.
I would pick more daisies

よんどころなし

含みがある上に、余計なことを言わずに一言ですますことのできて、流石と言うほかない言葉である。
高橋英夫・本の引越し・筑摩書房)

 読む

「読む」ということは、アルファベットを見つけるということ。世のすべてのものは、みずからを表すために、それぞれ独自のアルファベットを持っていて、自分のアルファベットによって存在の物語を綴ります。
存在するものは、かならず自分の物語と言えるものをもっています。その物語をじっと聴きとる。そして、そして、わたし自身の言葉で書きとってゆく。
「書く」ことは、つまり、「読む」ということにほかならないのです。
(すべて君に宛てた手紙・長田弘・晶文社)

 良い絵

上手い絵が良い絵ではない。そこにこめられた眼差しがどれほど深いか。それが美の本質。(絵筆のいらない絵画教室・布施秀利・紀伊国屋書店)

 

 
 
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