簿記入門
序章
簿記とはなんでしょうか。
皆さんは商工会議所の簿記検定試験や、商業学校の簿記授業、大学商学部の必須履修科 目、法人会や青色申告会主催の講習会、さらに税理士試験の試験科目、 等の場面で「簿記」という文字を見ることがあると思います。簿記とはは個人や会社その他の経営体の資産や負債の増減の原因となる取引を帳簿に記録する技術です。
「取引」とは、資産、負債(財産と言います)資本の増減の原因となる、経営行為のことです。 コンビニでパンを一つ百円で買えば、コンビニ店は100円の現金資産が増加 し、パン1個という商品財産が減少します。このことを取引として把握し記録します。現金入金はまずレジスタに記録し、のちにレジスタ記録を証拠として、簿記仕訳を行います。 個人・法人・営利・非営利・を問わずまた世界の国別を問わず、共通の「簿記技術」で経営活動が記述されますので、簿記を学ぶことは重要です。 まず基礎の基礎たる「簿記」をここで学んで見ましょう。簿記3級、簿記2級の知識があれば中小企業経理の基本を理解し実行できますこの入門では、パソコンによる実務簿記も念頭に入れて記述しています。
資産とは、経営に投下された、現金、預金、商品、売掛金、建物、機械のような資源です。 負債とは、経営に投下された諸資産の調達するための資金源です。買掛金、借入金等。 資本とは経営に投下された資金源のうち、株主の持ち分です。 収益とは売上等経営体の利益を増加させる取引です。 費用とは給料、賃借料、交通費等経営体の利益を減少させる取引です。 利益とは収益から費用を差し引いた差額です。 これらの関係は下記の通りです。
資産=負債+資本 負債=他人資本 資本=自己資本
利益=収益−費用 利益は資本(自己資本の増)として資本に加算
これらは、貸借対照表、損益計算書として表現します。
貸借対照表 貸借対照日付 単位
左カリカタDR 右カシカタCR
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資産の部 負債および資本の部 (資金の運用形態) (資金の調達源泉)
1流動資産の部 1流動負債の部
現金 買掛金 預金 未払金
売掛金 短期借入金 そのた流動資産 その他流動負債 流動資産計 流動負債計 2固定資産の部 3固定負債の部 器具備品 長期借入金 車両運搬具 長期未払金 建物 固定負債計 土地 負債合計 固定資産計 4資本の部 資本金
剰余金 資本合計 資産の部合計 負債・資本合計
カリカタ左は資産の保有状況を示し、カシカタ右は資産の調達源泉をしめします。 簿記では取引を左カリカタdr、右カシカタcrの二面・左右に分けて記録します。 現金売り上げは 左 現金10000円 右売上10000円 給料の支払いは 左 給料5000円 右 現金5000円 左右同じ金額であることに注意してください。
コンンピュター言語pythonで自問自答すると下記のように記述します。
>>> print("簿記とは") 簿記とは >>> print("取引の記帳技術") 取引の記帳技術 >>> print("取引とは") 取引とは >>> ("資産負債資本の増減をもたらす経営行為") print("資産とは") 資産とは >>> print("経営に投下された資源") 経営に投下された資源 >>> print("負債とは") 負債とは >>> print("投下資産に対する資金源のうち株主以外からの調達分") 投下資産に対する資金源のうち株主以外からの調達分 >>> print("資本とは") 資本とは >>> print("資金源のうち株主の持ち分") 資金源のうち株主の持ち分 >>> print(”簿記では取引を二面で把握し、左借方DR 右貸方CRとして、左右対照に把握記録します”) >>> print(”簿記では経営資本である、資産、負債、資本の増減、収益、費用の発生をすべて、借方・貸方の両面で認識、記録するので、複式簿記といいます) 。注 PYTHONとは、学びやすいコンピュータ言語の名称です。広く欧米で使用されています。
第1章
(1)取引と仕訳
簿記上の取引とは何か。入金取引、出金取引を中心にして考えます。入金出金取引は取引記 録の過半数を占めるでしょう。
企業の財産(資産.負債)と損益に影響する取引を簿記上の取引と言います。簿記上の取引は契約行為のほか、火災損失や有価証券の評価損なども含みます。
経営努力の成果は最終的に入金として実現します。お金の入金、出金、残高の流れを、キャッ シュフローといいますが、これはいわば経営の血液循環です。そこでキャッシュフローを中心にして簿記取引の理解を始めます。
入金は現金預金の増加です。出金は現金の減少です。入金と出金は反対の現象です。複式簿記でこの現象を、左右に分けて表示することにしています。左側は資産の増加(入金)、右側は資産の減少(出金)として記録します。左側を借方dr、右側を貸方crという表現にすることが伝統的に決まっています。
1普通預金100000円を引き出して現金とした。 2現金で什器備品(机。椅子など)50000円で購入し、現金で払った。 3家賃100000円を普通預金から送金した。
取引仕訳を三級簿記で仕訳すると。 借方(左側) 貸方(右側) 1 現金 1000000 普通預金 1000000 2 什器備品 50000 現金 50000 3 賃借料 100000 普通預金 100000 ***i以上の取引仕訳をパソコン簿記では勘定科目コードを使い1回1行で済まします。*** 借方 101 貸方 111 1000000 借方 217 貸方 101 50000 借方 733 貸方 101 100000 101、111、217、733・・・を勘定科目コードと言います。
(2)入金取引
入金取引は現金預金出納帳入金の部に記入します。 入金取引と出金取引を理解すれば簿記会計の大部分の取引を理解できるでしょう。
出納帳は現金、預金等の口座別に名前を付けておきます。
現金出納帳 小口現金出納帳 xx銀行当座預金出納帳 xx銀行普通預金出納帳
小口現金は、一定額を現金箱に入れ、小払資金として保管します。残金が少なくなくなれば他の資金から 補充します。補充額を入金の部に記録し、支払額を出金の部に記録します。 営業上の入金である売上金は即時銀行に入金して預金出納帳に記録するのが原則です。 しばらく手元に保管する場合は、現金出納帳入金の部に記録します。
当座預金は小切手を振り出すことができる銀行口座です。
普通預金は通帳に記録され自由に出し入れできる銀行口座です。
銀行とは、一般銀行、信用金庫、信用組合のことです。
入金:現金、預金の増加取引です。経営体に現金預金が入ってきます。 現金出納帳入金の部に記録します。
いつ・誰から・何を・いくら・どこに入金したかを記録するのが現金出納帳の役割です。証拠書類として入金証票綴に拠書類を貼付けて保存します。 いつは日付、誰からは入金元(相手先)、何をは入金内容、いくらは、金額、どこには入金先(入金記録する現金預金口座)です。
入金取引は現金預金という資産が増加して、同額だけ資算が減少または負債が増加、または損益が発生という性質を持っています。
現金出納帳の形式は現金出納帳フォーム集参照。
入金取引の種類
1 売掛金回収取引 : 売掛金は商品・製品を後日入金の約束で出荷した 場合に発生する 資産です。債権と言い、商法上の権利です。この売掛 金が後日現金預金で回収できたときの入金取引で す。現金預金資産の増加と 売掛金資産の減少に なります。 借方 現金 100000 貸方 売掛金100000 得意先から、売掛金を100000円現金で回収した。
2 前受入金取引: 商品・製品の引渡し前やサービス提供前に前金として 現金預金を受けとったときの入金取引です。 後日精 算する、債務ですから、現金預金資産の増加と短期 (流動)負債の増加です。 借方 現金 100000 貸方 前受金 100000 得意先から、商品売買の約束をするにあたり、前金として100000円 を現金で受け取った。
3 手形取立取引: 売掛金回収に際して約束手形・為替手形を受け取り、 手形期日に取立先銀行から預金入金の通知を受け 取ったときの入金取引です。手形は手形小切手法によ る有価証券です。現金預金資産の増加と有価証券資 産の減少です。 借方 普通預金 1000000 貸方 受取手形 100000 得意先から受け取って、銀行に取立依頼をしていた、約束手形が支 払期日に、普通預金に取立入金したという通知を銀行から受けた。
4 手形割引取引: 売掛金回収として約束手形・為替手形を受け取り、手 形期日前に銀行に持ち込み、割引料を支払ったうえ、 差し引き額を預金入金し たときの取引です。現金預金 資産の増加と短期負債の増加です。手形割引は、手 形を担保とする金融機関からの短期借入と考えられま す。 第一法 借方 普通預金 99000 貸方 割引手形 100000 割引料 1000 満期日まで経過勘定で処理し、満期日に 借方 割引手形 100000 貸方 受取手形 100000 という仕訳をして、経過勘定割引手形を消去し、受取手形を減少さ せる。 第二法
借方 普通預金 99000 貸方 受取手形 100000 割引料 1000 割引日に受取手形を減少させる。 5 資金移動取引: 預金を他行の口座から振替入金したときの取引です。 同額で他行の出金取引になります。現金預金資産の増 加と現金預金資産の減少です。 借方 普通預金 100000 貸方 現金 100000 現金を100000円普通預金に入金した。
特殊法
借方 普通預金 100000 貸方 流動預金清算口 100000 普通預金出納帳側の入金記帳 借方 流動預金清算口 100000 貸方 現金 100000 現金出納帳側の出金記帳 経過勘定精算口を使つて、入金元、出金元を意識せずに記帳しま す。
6 定期定積 取引: 定期預金や定期積金のような固定性預金を解約して 入金したときの取引です。現金預金資産の増加と定 期預金資産の減少です。 借方 普通預金 100000 貸方 定期預金 100000 借方 普通預金 5000 貸方 受取利息 5000 パソコン簿記では入力の便宜のため一行単位で記帳します。 三級簿記では 借方 普通預金 105000 諸口 貸方 定期預金100000 貸方 受取利息 5000 のよう仕訳することになっています。
7 借入金取引:銀行や経営者(個人的企業で発生)から資金を借り入金し たときの取引です。現金預金資産の増加と借入金負債の 増加です。 短期借入金と長期借入金の2種ありますが、1年以上の返 済期限のものが.長 期借入金です。経営者からの借入金は長 期借入金として正確に管理しましょう。
借方 現金 100000 貸方 借入金 100000 三級簿記では借入金として仕訳して、長短を意識せずにおきます。
8 現金売上取引: 現金で売上金を受け取ったときの取引です。売上 金は即時銀行に入金 します。 現金預金資産の増加と収益の実現です。後日商品の棚卸をして、売上原価を計算し、損益が判明します。棚卸は商品残高を実地に数量と単価を調べ、繰越商品−在庫=売上原価、売上−売上原価=商品売買益 という計算で損益を確定します。業種により、実地棚卸は毎日(コンビニ等)毎月(一般)等に実施します。
借方 現金 100000 貸方 売上 100000 本日の売上が現金で100000円です。 三級簿記では商品の増減記録を前提にして、 借方 現金 100000 貸方 商品 70000 損益 30000 とします。現金預金資産の増加と商品資産の減少と利益の実現です。 商品原価は70000円とします。
9 金利配当金取引 : 預金利息や配当金を受け取ったときの取引です。 現金預金資産の増加と 収益の実現です。 借方 普通預金 1000 貸方 受取利息 1000 銀行利息1000円が普通預金に入金されました。
10 雑収入取引: その他の雑益金を受け取ったときの取引です。 現金預金資産の増加と 収益の実現です。 借方 現金 10000 貸方 雑収入 10000 作業屑を10000円で売却した。
11 貸付・仮払・立替 取引: 貸付金や仮払金・立替金の入金取引です。 貸付: (貸付期間)短期と長期(一年以上の期 間) (対象)得意先、社員、役員、その他 に資金を貸 付けた時(契約書を作ること) その貸付金が返還され入金した時の取引です。 仮払: 金額、科目が不確定、不明のと き一時的に処理したものが、後日判明した、、 たときや一時的支払金が後日精算入金 した時の取引です。 立替: 取引上、一時的に、立替支払いをしたも のが、返金された 場合です。 下記は現金預金資産の増加と立替金資産 の減少です。
借方 現金 10000 貸方 立替金 10000 得意先A商店の運賃10000円を立替支払ったものが返金された
12 預り金・仮受金 取引: 一時的な預り金や科目金額等不明入金を仮 受金として入金処理す るときの取引です。一時的債務になります。 預り金:(対象)社員、取引先等からの預り入金 です。 仮受金:金額、科目、相手先等が不確定、不明の 入金取引です。 現金預金資産の増加と短期(流動)負債 の増加です。 借方 現金 10000 貸方 仮受金 10000 科目不明の入金が10000円あったので、一時的に仮受金として 仕訳処理する。
13 敷金・保証金取引 : 不動産賃貸や取引保証金を受け取ったときの取 引です。 返済義務のある債務です。 現金預金資産の増加と長期(固定)負債の増加 です。 借方 現金 100000 貸方 敷金 100000 店舗の二階を事務所として、貸すことにし、敷金100000円を受 取った。
14 未収入金取引: 売上金以外で契約上の請求額が入金したときの 取引です。 債権の回収取引です。現金預金資産の増加と短 期(流動)資産の減少です。 借方 現金 100000 貸方 未収入金 100000 車両売却代金の未収分が入金した。
15 そのたの入金: その他さまざまな入金をこの項目で一時処理しま す。
16 還付税金 : 法人税・市町村民税・事業税等の還付金が入金したとき の取引です。 (税金の処理は重要ですから、領収書等は別管理する) 現金預金資産の増加と 収益の実現です。 借方 現金 100000 貸方 還付税金 100000(
(3)出金取引
出金:現金、預金の減少取引です。経営体から現金預金が流出する。 現金出納帳出金の部に記録します。
いつ・誰に・何を・いくら・どこで出金したかを記録するのが現金出納帳の役割です。証拠書類として出金証票綴に拠書類を貼付けて保存します。 いつは日付、誰にかは出金先(相手先)、何をは出金内容、いくらは、金額、どこでは出金元(入金記録する現金預金口座)です。
出金取引は現金預金という資産が減少して、同額だけ資算が増加または負債が減少、または使用が発生という性質を持っています。
現金出納帳の形式は現金出納帳フォーム集参照。
A出金取引事例
出金取引は現金預金の出納帳出金の部に記入します。
1 買掛金決済: 商品仕入れや外注加工代等を 後日払いで購入したとき、 取引記録を買掛 増減表に記録しておきますが、相手先より請求書を受領し、 支払期日が到来 したときの取引です。買掛金は取引上の支払債務でこの債 務の履行として決 済した時の取引です。買掛金増減表フォーム参照。
買掛金負債債務の減少と現金預金資産の減少です。
借方 買掛金 100000 貸方 普通預金 100000
仕入先に買掛金100000円を普通預金から送金した。
2 前渡金: 商品仕入代、外注加工代、旅費・交際費等を商品到着前等に 一部支払う場合の 取引です。一時的な債権の増加です。後日精算します。 短期(流動)資産の増加と現金預金資産の減少です。
借方 前渡金 100000 貸方 普通預金 100000
仕入先に、商品代の前払いとして100000円送金した。
3 手形 決済: 振り出して、相手先に交付しておいた約束手形が手形期 日に銀行口座から引 き落とされたときの取引です。手形増減表フォーム参照 支払手形負債債の減少と現金預金資産の減少です。
借方 支払手形 100000 貸方 普通預金 100000
かねて仕入れ先A商店に交付した約束手形が支払期日が来て銀行か ら引き落とされた。
4 人件費支払 :給料、賃金、雑給、賞与、退職金、労働保険料、社会保険 料が支払われたと きの取引です。給与明細フォーム参照 人件費費用の増加と現金預金資産の減少です。
一般法
借方 給料手当 100000 貸方 現金 90000 預り金 10000 給料日に源泉所得税10000円を差し引き90000円現金払
特殊法 借方 給与精算口 90000 貸方 現金 90000 (給与支払の下記の仕訳を一般仕訳帳で行っておく) 借方 給料手当 100000 貸方 給与精算口 90000 預り金 10000 ***支払い時点では科目仕訳処理をしない***
5資金移動取引: 預金を他行の口座から振替出金したときの取引です。 同額で他行の入金取引になります。現金預金資産の増 加(入金先)と現金預金資産の減少(出金元)です。 借方 普通預金 100000 貸方 現金 100000 現金を100000円普通預金に入金した。
特殊法
借方 普通預金 100000 貸方 流動預金清算口 100000 普通預金出納帳側の入金記帳 借方 流動預金清算口 100000 貸方 現金 100000 現金出納帳側の出金記帳 経過勘定精算口を使つて、入金元、出金元を意識せずに記帳
6 定期定積積立 :定期預金や定期積金のような固定性預金を積み立て のため出金したときの取 引です。定期預金資産の増加と現金預金資産の減少 です。
借方 定期預金 100000 貸方 現金 100000
現金100000円を定期預金として預けた
7 借入金返済取引:銀行や経営者(個人的企業で発生)から資金を借り入 金た場合その返済取引です。 現金預金資産の減少と借入金負債の 減少です。 短期借入金と長期借入金の2種ありますが、1年以上の返 済期限のものが.長 期借入金です。経営者からの借入金は長 期借入金として正確に管理します。
借方 借入金 100000 貸方 現金 100000 三級簿記では借入金として仕訳して、長短を意識しません。 借方 借入金 100000 貸方 現金 101000 支払利息 1000 8 現金仕入:現金で商品仕入れしたときの取引です。 仕入費用の増加と現金預金資産の減少です。
借方 仕入 1000000 貸方 現金 100000
9 金利支払 :銀行や借入先に借入利息を支払ったときの取引です。 支払利息費用の増加と現金預金資産の減少です。
借方 支払利息 10000 貸方 普通預金 10000 普通預金から金利10000円が引き落とされた
10 雑支出:その他の雑支出金を支払ったときの取引です。 費用の増加と現金預金の減少です。
11 貸付・仮払・立替支出: 貸付金や仮払金・立替金を出金したときの取 引です。 貸付: (貸付期間)短期と長期(一年以上の期間) (対象)社員、役員、その他 簡単でもいいから、契約書 を作ります。 仮払: 金額、科目が不確定、不明のとき一時的に処 理します。 立替: 取引上、一時的に、立替支払いをしたときの 取引です。 短期(流動)資産の増加と現金預金資産の減少で す。 後日精算・回収を予定します。
借方 立替金 10000 貸方 現金 10000 得意先A商店の運賃10000円を立替支払った
13 預り金・仮受金清算:一時的な預り金や科目金額等不明入金を支払 いまたは、清算出金し たときの取引です。 短期(流動)債務の減少と現金預金資産の減少で す。 借方 預り金 10000 貸方 現金 10000 従業員の源泉所得税10000円を預った分を税務署に支払った
14 未払・未払費用: 未払金:資産等の代金支払取引です。 未払費用:経費等の未払分を支払ったときの取引です。 負債の減少と現金預金資産の減少です。 ただし、通常小額の経費は支払ったときの経費として処理 します。
借方 未払金 100000 貸方 現金 100000 自動車購入代の未払い分100000円を支払った。 ****固定資産等の未払は購入時に未払金を計上しておく。 固定資産増減移動書参照
15 投資・生保・長期前払: 出資金、積立生命保険等の出金取引です。 投資資産の増加と現金預金の減少です。
借方 生保積金 100000 貸方 現金 100000 生命保険契約せ積立計上100000円支払った
16 建設仮勘定:土地、建物等の建設中の工事に関する支払取引です。 建設完成までの一時的な建設仮勘定資産の増加と現金 預金資産の減少です。
借方 建設仮勘定 100000 貸方 現金 100000 店舗改築のため、工事金の一部を工務店に支払った。
17そのた出金 : その他さまざまな入金をきをこの項目で一時処理し ます。 18 諸税金: 所得税、法人税、事業税等の出金取引です。 費用の増加と現金預金の減少です。です。 借方 法人税等建 100000 貸方 現金 100000 税務申告に基づいて、法人市民税100000円支払った
19 経費: 諸経費は経営管理上、下記のように分類します。これらを出金 したときの取引です。 1直接経費:販売手数料、委託加工費 2人件費:(1)給料、賃金、雑給賞与、(2)退職金(3)法定福利費 (4)福利厚生費 3設備費:(1)賃借料 修繕費(2)水光熱燃費(3)経費税金(4)保 険料 4政策費:(1)交際費 会議費(2)広告費 会費(3)図書費 教育 費(4)研究開発費 5流通費:(1)交通費 通信費(2)荷造運賃 6消耗品費(1)消耗品費(2)事務用品費 7雑費: (1)手数料 報酬(2)衛生費 雑費 直接経費は売り上げに比例して増加しますから、変動費として管理 します。 人件費以下の経費は、売り上げに比例して増減がゆるやかなので、 おおまかに固定費 として管理します。この固定費が経営を圧迫しないよう注意が必要で す。 すべて費用の増加と現金預金の減少です。
要約
1事業体の取引とは資産の増減、負債の増減、収益の実現、費用の増加を発生させる行為である。
2現金・預金は交換価値を表示する単位であり、取引は、最終的に現金・預金の増減となる。
3現金・預金の増減は現金出納帳に記録する。
4.現金預金の増減の状況を表示するために、資金繰り表、資金増減表、キャッシュフロー計算書が作成される。
5.。現金出納帳の記帳の説明です。
第2章
(1)複式簿記とは
前章で、入出金の取引を通して、取引仕訳の説明をしました。経営体の取引の大半は現預金の入出金に関係します。第1章で簿記取引のおよそおは理解していただき、実際に証票綴、出納帳、給与計算書等の記帳をして、理解を深めてください。
複式簿記では取引を平面(二次元)である紙に記録することではじまります。平面は左右に分け
て、左側を借方(かりかた)右側を貸方(かしかた)と言います。
左側・DR(借方) 右側・CR(貸方)右側
取引はこの二面に記録します。左・右で複数ですから複式簿記と言います。
雛飾りで言えば左側は左大臣、右側は右大臣です。
両者は平等の位で価値の差異はありません。同金額です。
入金取引では左側・借方は現金・預金入金で現金・預金の増加として記録します。
右側・貸方はその原因を示す勘定科目を記録します。原因は、第一章で記述したように、資産の増減・負債の増減・収益の増減.費用の増減に分類されます。
入金取引の仕訳
商品を販売して、現金が1万円入金した、理由は売上げです。 (結果)資産の増加 (原因)収益の増加
左(借方) 現金 10000 右(貸方) 売上 10000というようになります。
出金取引の仕訳
(原因)費用の増加 (結果)資産の減少
左(借方) 給料 10000 右(貸方) 現金 10000というようになります。
これが複式簿記の原理です。
現金(資産)に注目して言えば、現金の増加(プラス)はDR(借方)左側に記録されます。
現金の減少はCR(貸方)右側に記録されます。
このように取引を借方(左側)と貸方(右側)に分け、原因と結果を示す名称(勘定科目)を付けて、金額を表示します。このことを仕訳と言います。 また取引の生じた日付も記録します。
(2)試算表
左右に記録された金額は日次、月次に勘定科目ごとに集計され、試算表として報告されます。これは個々に仕訳された取引記録を勘定科目別に、集計し、一覧で観察できるようにするとともに、借方(左側)と貸方(右側)の合計額が一致するかどうかを確認するために作成されます。
入金取引を仕訳の形式で整理し表示すると
(1)現金預金資産の増加と諸資産減少のパターン
1 売掛金回収取引 借方科目 金額 貸方科目 金額 適要
現金預金 1000 売掛金 1000 売掛金の回収
2 受取手形取立取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 受取手形 1000 手形の期日落込入金
3 手形割引取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 受取手形 1000 銀行による割引入金
4 貸付・仮払・立替取引(精算入金)
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 貸付金 100 貸付金を現金で回収入金
現金預金 1000 仮払金 100 仮払金を現金で回収入金
現金預金 1000 立替金 1000 立替金を現金で回収入金
5 敷金・保証金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 敷金・保証金 1000 敷金・保証金を預かり 入金
6 資金移動取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 流動資金精算口 1000 現金預金振替入金
7 定期定積取引(取り崩し)
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 定期預金 1000 定期預金を取り崩して 現金預金に入金
現金預金 1000 定期積金 1000 定期積金が満期で取 り崩し入金
8 未収入金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 未収入金 1000 未収入金を回収し入 金
(2)現金預金資産の増加と諸負債の増加のパターン
1 前受金入金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 前受金 1000 商品引き渡し前に前受 金を入金
2 借入金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 借入金 1000 銀行から借入金契約をし て入金
3 預り金・仮受金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 預り金 1000 従業員から源泉所得税 を預かり入金
(3)現金預金資産の増加と収益増加のパターン
1 現金売上
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 売上 1000 現金売上金1000を 入金
2 金利・配当金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 受取利息 1000 銀行から定期預金利 息を入金
現金預金 1000 受取配当金 1000 投資先から株主配当 金を入金
3雑収入取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 雑収入 1000 不用品を売却して入金
4 還付税金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 還付税金 100 法人税の過納付金を入金
(4)その他の取引
1 現金預金(資産)の増加(左・DR)と諸費用の戻り(右・CR)
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
現金預金 1000 修繕費 1000 修繕費の過大支払の返 金 分入金 以上すべての入金取引は 借方 現金(預金)となります。貸方は資産の減少、収益の発生、費用の取り消し、負債の増加となりますが、取引の意味内容を把握して理解してください。 まとめると下記のようになり、左側借方 右側貸方の合計は一致しています。これは入金取引だけの試算表です。
入金取引仕訳帳 |
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借方科目 |
金額 |
貸方科目 |
金額 |
摘要 |
現金 |
100000 |
売掛金 |
100000 |
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現金 |
100000 |
前受金 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
受取手形 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
割引手形 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
普通預金 |
100000 |
|
普通預金 |
100000 |
定期預金 |
100000 |
|
普通預金 |
5000 |
受取利息 |
5000 |
|
現金 |
100000 |
短期借入金 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
売上 |
100000 |
|
普通預金 |
5000 |
受取配当金 |
5000 |
|
現金 |
5000 |
雑収入 |
5000 |
|
現金 |
10000 |
立替金 |
10000 |
|
現金 |
10000 |
預り金 |
10000 |
|
現金 |
100000 |
敷金 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
未収入金 |
100000 |
|
現金 |
100000 |
還付税金 |
100000 |
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月計 |
1135000 |
月計 |
1135000 |
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B:出金取引について
出金取引を仕訳の形式で整理し表示すると
(1)諸資産の増加と現金預金資産の減少のパターン
1.定期定積取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 定期預金 1000 現金預金 1000 定期預金をつくった
2。貸付・仮払・立替取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 貸付金 1000 現金預金 1000 社員に貸付
3・投資・生保・長期前払取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 生保積立金 1000 現金預金 1000 月次生命保険積立
4.建設仮勘定取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 建設仮勘定 1000 現金預金 1000 建築費の一部支払
(2)諸負債の減少と現金預金資産の減少のパターン
1.買掛金決済取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 買掛金 1000 現金預金 1000 仕入先に掛代金支払い
2.支払手形決済取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 支払手形 1000 現金預金 1000 仕入先に前に渡しておいた 手形が期日がきて落ちた
3.借入金返済取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 借入金 1000 現金預金 1000 信用金庫からの借入金を 返済した
4.預り金・仮受金決済取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 預り金 1000 現金預金 1000 従業員から預かった源泉 所得税を税務署に収めた
5。未払・未払費用決済取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 未払金 1000 現金預金 1000 自動車購入代の未払い 分をはらった
(3)諸費用の発生と現金預金資産の減少のパターン
1.現金仕入取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 仕入 1000 現金預金 1000 現金仕入れ
2.人件費支払取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 給料手当 1000 現金預金 1000 給料支払い
3. 経費取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 交通費 1000 現金預金 1000 電車代支払い 交際費 1000 現金預金 1000 お中元代支払い
4・諸税金取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要 法人税等 1000 現金預金 1000 法人税支払い
5.雑支出取引
雑支出(販売費・一般管理費以外の諸費用ちゃとえば盗難損失)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)
6。その他の取引
1・資金移動取引
借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
流動預金精算口 1000 現金預金 1000 現金預金を振り替え
第3章
第3章 試算表の作成
日次試算表・月次試算表)
左側・DR(借方)右側とCR(貸方)右側に記録された金額は左右合計額は同額で記録され
ていますから、集計された試算表も左右が一致するはずです。貸借均衡の原理と言います。
記録集計の誤りが発見できますから、複式簿記は正規の簿記の原則として世界中で採用されて
います。複式簿記は会計上の世界共通言語といえます。
記録されている取引は、原始証ひょう(領収書・請求書・計算書等)により証拠付けられていなく
てはなりません。
試算表はある期間の取引状況を一覧で見ることができますので、便利です。この試算表を基して、貸借対照表、損益計算書が作成されます。
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