序章 パソコンを使い,表計算を学び,データベースとの関連を考える
表計算やデータベースの学び方は、料理のつくり方と似ています。表計算ソフトウエアやデー
タベースソフトウエアは、調理レシピです。包丁・なべ・電子レンジ等の料理機器や電気・水道・
ガス等の資源や料理教室の建物はパソコンハードウエアに当たるでしょう。
魚介類・肉類・蔬菜類・調味料等の調理素材がデータです。できあがった料理が成果物になり
ます。
始めに表の例を研究してみましょう。表のことをテーブルといいます。
世に事務日誌というものがありますが誰が何時どんな仕事をしたかの記録です。目的は事務
仕事が的確に行われているかを分析して、原価と進行の管理をするために使います。
もしパソコンとソフトウエアがなければ、紙、鉛筆、電卓で記録することになります。
表の題名は、事務作業日誌とします。
表の内容は、1.日付2・担当者3.事務作業種類4.作業対象顧客5・作業時間とします。
これを1月分記録して、月末には時間計を電卓を叩いて、担当者別・事務作業種類別・顧客別
に集計するでしょう。
これは大変な作業です。
そこでパソコンとソフトウエアを使用すると楽に早くできます。
表計算は、エクセル(マイクロソフト社)・CALC(サンマイクロシステム社)等があります。どれでも通常の仕事に適応します。
ここではエクセル2010で説明します。
(1)表計算ソフトウエアの起動とフィールド作成
1・パソコンを起動します。 2.ソフトウエアのエクセル.3を開きます。 3.ブランク(白紙)の画面を開きます。 4.上から3行目に事務作業日誌とインプットします。 5.A欄に日付・B欄に担当者名C欄に作業名・D欄に顧客名・E欄に作業時間を書きます。 6.この表のE欄下部に合計関数:@SUMを埋め込みます。 これが第一歩です。
第1章 表計算とは何でしょうか
1計算:表の数字に基いて何らかの計算(合計、+、ー、*、/、」平均・・・)を行う。
2表現:表を解り易くするため、表題を付けたり、グラフ(棒グラフ、円グラフ・・・)にしたりでき る。色彩を使いある範囲を特徴付けます。 ピンク>入力項目 ブル−>計算式項目 グリ−ン>表題項目 ブラウン>強調項目
3保存:扱った数値データーを保存格納して、後日再使用できる。
ソフトウエアの持っているすべての機能を逐一学ぶようなことは避け、自分が必要とする部分 だけを、ホーリスティック(大まかに、試行錯誤法で、良い加減に)な方法で学んでください。 必要が知恵を生み出します。 パソコンの基本的な仕組みを理解した上で推定力を働かせます。推定力は読書..観察.会話等で養ってください。
第2章 スプレッドシート(表)はどんな構成でしょうか
おおまかにいえばスプレッドシートとは大きな電子的表です。その表には様々な機能が含まれ
ています。
1.画面の上の行には、多数のアイコンが並んでいます。これらのアイコ
ンをクリックするとそれぞれの機能が使えます。
最上部^にあるファイル.ホ−ム.挿入.ペ−ジレイアウト.数式.デ−タ.校閲.表示.開発の区分に分類され、それぞれの区分のもとで各種独特の機能をもつ図形(リボン)が表示されます。
2.画面の最下部にSHEETが表示されています.追加.削除.名前の変更ができます、
きます。
例えば1月分給与、2月分給与、3月分給与・・・のように表を作り、最後に合計に年計とすると一年間の串刺し計算でまとめられます。
ワークシートとは電子的な計算用紙です。ワ−クシ−トの全部をBOOKといいます。1BOOKが1ファイルとなります。
3・列名と行番号
ワークシートの各列ヨコ(欄)を識別する列名は、ワークシート枠内の各列の一番上に表示され
ます。
列名ヨコは、A からはじまります。
ワークシートのタテ(行)を識別する行番号は、ワークシート枠内の各行の一番左に表示されま
す。
行番号は、1 から始まります。 行.列は追加.削除ができます。 列と行の交差したところをセルといいます。
各セルは、ワークシート名と、列名、行番号で構成される番地を持っています。
A:A1 というセルは、ワークシートA の列A と行1 との交点にあるセルということになります。
4・カレントセル
ワークシートに強調表示される長方形をセルポインタといいます。セルポインタのあるセルを、
カレントセルといいます。カレントセルのあるワークシートを、カレントワークシートといいま
す。
あるセルがカレントセルのときに、そのセルにデータを入力するか、セルの内容を編集した
り、リボンを使ってセルの内容とスタイルを操作したりできます。
別のセルをカレントセルにするには、セルポインタを移動させます。
6・複数のワークシートがあるグールプをブックといいます。
1つのワークブックには、最大256 枚のワークシートを作成できます。ワークシートは、A からIV
の文字で識別されます。この文字は、ワークシートの左上にあるワークシートタブの中に表示
されます。
7・ワークシートタブ
ワークシートには、その上端にタブが付いています。このタブをダブルクリックして、ワークシー
ト名を入力できます。ワークシートタブに異なる色を付けて、視覚的に編成することもできます。
8・ワークシートのグループ化
隣接するワークシートをグループ化して、グループ内の1枚のワークシートに割り当てたスタイル
や表示形式、そのほかの設定をグループ内の他のワークシートにコピーすることができます。
ワークシートのグループ化は、複数のワークシートの外観・内容を揃えるための便利な方法で
す。
9・表題の固定
ワークシートをスクロールしたときも常に表示されるように、列と行を表題として固定で右寄せに
表示されます。
10・数値引用(特定の場所の数値を別の場所で援用して使うこと)
+記号の次に引用したい場所(位置)を指定します。A12のセルに=B5のようにインプットす
るとB5のセルの内容(数値・文字橙)がA12のセルに転記されます。
第3章 算式を書くにはどうすればよいでしょうか
1.+ 足し算 数値データの場所を引用して足して行く。+D3+D4+D5 ー 引き算 同様にする。 +D7-D3 * 掛け算 同様にする。 +D3*D4 / 割り算 +D7/D5
2.演算の順序は数式の書かれた順序で計算される。数学の論理と異なるので括弧()を使っ
て優先順位を決めて算式を書く。1+(0.95*B3)
第4章 関数を使うにはどうしたらよいですか
関数とは
特定仕事を処理するためにあらかじめ作成されている小さな命令プログラム。
表計算の例
数学関数:切り上げ>=TRUNK、切り捨て>=INT、四捨五入=ROUND、回数計算>=COUNT
等
統計関数:合計>=SUM、平均>=AVG、標準偏差>=STD、最大>=MAX、最小>==MIN等
財務関数:減価償却・定率法>=DB、元利均等返済額>=PMT等
日付関数:年月日>=TODAY、時刻>=NOW、日数>=DAYS等
論理関数:条件>=IF等
内容調査:表引き>=VLOOKUP等
データベース:条件集計>=DSUM等
関数は表上のデータを分析するのに必須の道具です。
これを使いこなすことによって「表計算」で、プログラムを作らなくてもかなりの仕事ができます。
1.統計計算
合計:=SUM(B1・・・・B20) ()の中は引数の範囲を示されます。 平均:=AVERAGE(B1・・・・B20)カッコ内のデータの平均値を返します。 絶対値:=ABS(+C20)+-の符号をとり絶対値を取り出す。 整数:=NT(+D20)小数部をはずして、整数部分だけを取り出す。 個数カウンタ:@COUNT(A5・・・・A30)現れたデータの個数を数える。 最大値:=MAX(A5・・・・・・・A30)この範囲での最大値を取り出す。 最小値:=MIN(A−5・・・・・A30)この範囲での最小値を取り出す。
2.論理関数
論理記号 = 等しい < より小さい > より大きい <= より小さいまたは等しい:以上 >= より大きいまたは等しい:以下 @IF;@IF(条件,x,y)は条件が真ならばx、偽ならばy を出力します。 @IF(A5>A6、B5、C5)のように書きます。 条件 X Y
3表引関数
=VLOOKUP(照合値,照合範囲,列位置) 照合値: 表引照合の対象とする値 照合範囲: その範囲に範囲名をつけ、記憶させます。左端上部のセル番地と右端下部のセル番地で特定できます。 列位置: 左から右へ欄(カラム)を0 1 2 3 と数えます。
TAXTABLE(A3..D6)という税金表に、収入とその要因にもとづく税金の額が入力してあります。=VLOOKUP(3502345,TAXTABLE,3)は\3,502,345以下で最も近い値(この例では\3,500,000)を収入とした場合の1列目(この例では要因)における税金の額を返します。 式の結果は\1,131,500になります。 照合値=3502345 照合範囲=TAXTABLE 範囲のプロパティの機能を使って範囲名を登録しておきます。 列位置=3
A A B C D
TAXTABLE(税金表)
0 1 2 3
収入 要因(税金)
4 \3,500,000 \1,131,500 3500000円以上3505000円未満として考える。 5 \3,505,000 \1,133,900 6 \3,510,000 \1,136,400
4.データーベース関数
=DSUM(対象範囲,フィールド位置,[条件範囲])はデータベーステーブルのフィールド位置の
中で、指定された条件範囲を満たす数値の合計を計算します。
「売上げ」という名前のデータベーステーブルには東京、大阪、名古屋での5月の住宅の売上げ
が入っています。このデータベーステーブルの手数料という名前のフィールドには手数料が入っ
ています。東京での手数料の合計を求めるには、次の式を使います。
=DSUM(売上げ,"手数料",支店="東京") → 25,480(答えです)
対象範囲>「売上げ」データーベース
フィールド位置>”手数料”フィールド
「条件範囲」>支店=”東京”という条件
A B C
1 日付 支店 手数料 2 5/ 1 大阪 28,800 3 5/10 名古屋 12,720 4 5/10 大阪 19,920 5 5/11 名古屋 11,120 6 5/12 東京 9,600 7 5/14 名古屋 13,620 8 5/15 東京 15,880
9 5/20 大阪 12,120 ***** 閑話休題 この章は息せき切ってすべてを説明しようとしているため、わかりにくいと思います。 大体このようなものと理解してください。 必要が理解と進歩を生みます。
第1章でホーリスティツクな方法(適当にあたりをつける等)について述べましたが、あたりを付
けた上で、決められた作業をしますが、コンピュータはあくまで0(オフ)か1(オン)しか理解でき
ず、人間のような融通が利きませんし、想像力もありません。
表計算の仕組みはこのようなコンピュータを使って、人間が開発したものですから、開発者はわ
マニュアルの記述は万全ではありません。
そこで学習者は、「あれかこれか」ホーリスティツクに取り組むことも必要になるのです。ホー
リスティツクな方法の会得は、日ごろから、多方面への夢と知識欲を持ち続けて情報の摂取を
積極的にし、個性と知恵としての形成します。 *****
第5賞表計算とデータベースで、事務作業日誌をつくる。
1。表計算で作る。表引き関数=VLOOKUPを使って作業日誌表をつくる。 このvlookup関数は、ロータス・エクセル・スタースイーツのどのソフトでも使えます。
テーブル(ファイル)の名前 事務作業日誌
主テーブル
入力項目
SQNO 日付 担当者コード 作業種類コード 顧客コード 作業時間
赤い色の項目はデータを入力する項目です。SQのは連続番号です。
担当者名・作業種類・顧客名・作業単価・作業料金は下記の関連するテーブル・表と連関して自動的に計算します。
関連テーブル・表(表引関数@vlookupの引用対象となる表(テーブル))
テーブル・表名 フィールド(カラム・欄・属性・項目)
1・顧客テーブル・表 顧客コード 顧客名
2・担当者テーブル・表 担当者コード 社員名
3・作業種類テーブル・表 作業コード 作業名 単価
例
顧客テーブル・表
顧客コード 顧客名
0201 秋山商事 0301 佐々木工房 0401 田口商店
担当者テーブル・表
担当者コード 担当者名
1 山田 2 高橋
作業種類テーブル・表
作業種類コード 作業種類 時間単価
1 記帳 5000 2 仕訳 4000 3 入力 3000 このような段取りをして入力した結果の表を基にして、集計・分析を行います。
2.データベースソフトアプローチを使用する。
データベースソフトウエア小規模用ではアクセス(マイクロソフト社)・ファイルメーカプロ(ファイルメーカ社)等があります。 ロータスアプローチ(IBM社)は日本でのユーザ数が少ない、参考書が少ないのですが、エンドユーザ自身で作成するにはは大変有用です。 データベースソフトウエアは表計算よりは、事務処理に適合しますが、データーベース理論の基本知識がある程度必要になります。 ロータスアプローチはリレーショナルデータベースです。リレーションナル機能は表と表をキー項目で関連付けて(連結)複雑なレポートを作成できます。
テーブル構造はこの作業日誌の場合は上で述べた表計算と同様です。 作成は一枚の表から始めるのではなく、ファイルの作成(ファイル名・フィールド)から始めます。
作成手順
1.データーベース名の登録
2.フィールド項目の定義(フィールド名・タイプ・サイズ・式)
3.テ−ブルの連結
のような順序で作成します。
第六章 表計算とデータべースで住所録を作る
1.表計算ロータス1・2.3で作る。
テーブルのフィールド名 住所録 構成項目は手書きの住所録を応用してください。
たとえば氏名・住所・電話番号・備考のようにします。
表計算には検索・ソート等の機能がありますから、紙の住所録とは格段に使いやすくなります。
2・データベースロータスアプローチでつくる。
テーブル名 住所録
フィルド名 上記と同様です。
第七章 表計算とデータベースで現金預金出納帳をつくる
1.表計算でつくる。
(1)簡単な表
手書きの出納帳を参考にして作ります。
使用関数 @SUM + −
表題 現金預金出納帳
繰越 日付 摘要 入金 出金 残高
合計・残高は自動計算させる。
(2)やや実用的な表
科目別集計を行います。取引記録のない箇所は空白にする。
使用関数
=IF =VLOOKUP =DSUM
フィールド
1・繰越 日付 摘要 入金 出金 残高 これに追加する項目を相手先コード 科目コードとし、科目名・相手先名が自動的に入力されるようにする。
2・科目別に金額を集計できるようにする。
3.入力のない項目を空白にする。
=VLOOKUP 関数を使って勘定科目、相手先等を自動表示できます。
=DSUM関数を使って支出。収入科目別の月別合計を算出できます。
=IF関数を使って、入力項目がない行を空白表示にできます。
作成済の様式はフォ−ム集に掲載してありますので参考にしてください。
2・データーベースでつくる
データベース名 金銭出納帳
主テーブル フィールドは表計算とほぼ同様
連結先テーブル
科目テーブル
フィールド: 科目コード 科目名
相手先テーブル
フィールド: 相手先コード 相手先名
銀行テーブル
フィールド: 銀行コード 銀行名
vlookup関数やdsum関数は使用せず、マクロとレポート作成機能を使用します。
デ−タベ−スについてはファイルメ−カ−プロを使って後述したいと思います。
ホームページ 戸張会計 tobari-kaikei |