読書余滴  20100903                戸張道也
「 経営の真髄 」 小泉衛位子著(ハーバードビジネススクール卒、日本人女性MBA第一号、ボストンコンサルティング社、企業戦略コンサルタント、上智大、慶応義塾講師) 日本経済新聞社刊 

はじめに(注*コンシステンシ>一貫性、ビジョン>夢*)
 
市場シエアーの向上、利益率の向上、新規事業の探索、従業員教育などクライアントの希望を実現させるためには、徹底した整合性が必要。会社のビジョンの一貫性、組織的一貫性、販売経路の一貫性などあらゆる角度から目標達成までの一貫性の追及。重要なのは、それぞれの知識(ビジョン、戦略、戦術、組織、生産性、マーケティング、ファイナンス、人事等)を集積して統合し、すべてのレベルでビジョンを整合させること。これが成功の秘訣です。この「ビジヨナリイー・コンシステンシー」こそ、これからの企業運営に欠かせない重要なことです。

 1成功への秘訣  ビジョンの重要性

ビジョンとは何か
 普遍的なビジョン 経営理念
 適応的なビジョン 戦略に基づいた具体的目標
この二つのビジョンを全社的に共有し、戦略ベースの基づいて適応的ビジョン(目標)を定期的に見直しつつ、常に対象となるお客様を意識して、全社員一人ひとりの行動パターンまで一貫性を達成することが、成功の秘訣です。
夢を描く:夢を描けない人には夢が手に入りません。ビジョンとは夢と言い換えてもいいでしょう。
ビジョンのもとに、どう競合と戦うか優先順位と資源配分を見極めたものが「戦略」となり、そのビジョン・戦略を実行可能な計画まで落とし込んだものを「戦術」と呼びます。ビジョンと戦略・戦術を全社に浸透させ、企業を成功に導くこと
、これが経営リーダーの使命です。(注*ポートフォリオチャート>成長性とシエアを4分割図で考察)
2ビジョン・目標の構築 ポートフォリオチャートを作る(注:spp社のHP解説参照)
自分の会社の事業の位置付や事業戦略の見直しのためのツール(注:成長・シエア。マトリクス)
1花形事業:成長性が高く、自社の市場シェアが相対的に高い事業
 対策 コスト削減、機械化、工程の見直し、廃棄率の低下等の合理化をはかる
2金の成る木事業:市場の成長性は低くなっているが重要な資金源となっている事業
 対策     ブランド力、シエア維持のための投資 守りの姿勢が横行しがち
        なのでチャレンジ精神の維持
3問題児事業:成長性が高いが自社のシェアの低い事業
 対策      花形事業にそだてられるかどうか
4負け犬事業:市場の成長性低い事業     撤退のスケジュール化
      毎日汗をかいて努力してくれる人たちに成功の喜びを与えられず、挫      折の身を味わせることがどんなに残酷かを理解すべきです。

2戦略に基づいたビジョン構築の重要性:

 目標ビジョンは明確だったか。目標が売上高前年比指向型では転落の道。
戦略のしっかりした部門への参入、戦略にもとづいたビジョン・目標の構築が、組織を束ね、皆のベクトルを合わせるための重要課題です。(注:ベクトル>方向性と量)
ビジョンに表現されたその言葉の意味が従業員にとってわかりやすいか、目標が戦略構築の基礎になっているか、皆に共有された計画になっているか。
3戦略策定のポイント
5つのポイント:1事業・製品の市場・成長性 2ライフサイクルの理解3事業特性の把握 4シエアの価値 5市場での自社製品・サービスなどの位置づけの理解
1市場規模を確認する:統計資料の計算

3ライフサイクルの理解:

個人・事業・製品・サービス・会社:国のどれにおいても、この世で
生まれ、成長し、衰退から死へと向かう定めです。
この誰もがたどる道を、人間は日々生きているなかで忘れがちです。自分が衰退期にはいると、自分を客観的にみることができなくなっており、他人の進言を聞く余裕がなくなります。あなたの事業・製品・サービス・会社が、いまターゲットとしている国で、ライフサイクルのどの位置にあるかの確認をかならずしなければなりません。一番悪いのは、経営者が日々の忙しさや目先の対応に追われ、大きな目標や大事なことに時間を使わないことです。

4事業特性の把握:

自分の事業が、生産量の増加に従って、単位当たりのコストが下がる
事業(規模事業)か、いくら生産量を拡大しても単位当たりコストが削減できない事業(分散型事業)かを見極める必要があります。
分散型事業:小売・卸売など人件費の高い業態など。分散型事業でも、自己の商圏内で、規模を獲得し、シエアを積み上げ、規模の効果がみられる輸送費や広告宣伝費などの総コストの削減が可能となる。

5シエアの価値:

市場シエア66%を目指せ:目標を掲げ、具体的な方法、アプローチ、投資内容、金額、タイムスケージュールなどを明記できれば、その目標を手にいれることができます。リーダーは「成し遂げたいと思うことに不可能はない」という強い信念を持ち、それを手に入れるための詳細な手順、方法、補い方、時間軸の作り方を理解したなら、後は信じて努め続けるのみです。

6市場での自社製品・サービスなどの位置づけの理解:(注:セグメンテーション>細分化で考察)

セグメンテーションの有効性:成功目標を具体的に落とし込み、投資内容の違い、必要投資額の見極め、ヒト、モノ、カネ、情報を無駄なく投資する考え方。
市場を様々な角度から整理・分析してみて、自社がどこにポジショニングしているのか、そのセグメントにはどのような特性があり、自社の強みを十分に生かせているか、誰れが真のユーザで、何を求めて、どの競争相手が、どのような優位性をそのセグメントで保有しているのか、自社はどのようにしたらそのセグメントで66%の勝ち戦をしていけるのか。

7ビジョン・目標・戦略を戦術レベルに展開するには

コスト分析ー原価の改善:まず自社内のコスト分析を徹底的にしてみてください。
原価:使用材料の吟味、一つひとつの調達先からのコスト分析、調達方法と一回当たりの調達量・調達頻度の見直し、廃棄率の分析、在庫管理のありかた、部品や包材の共通化の追及など、どんなに優れている企業でも詳細な改善・工夫の余地はいくらでもあるものです。「変えないことが、一番楽」という考え方ではなく、「変えていかなければ生き残れない」という考え方を従業員一人ひとり、役員一人ひとりが理解することが重要です。
検証が必要な広告宣伝費と販売即品費:
使っているメディア媒体・内容は有効か、使用金額に見合う効果が認められるか、ターゲット顧客へのターゲット広告が売上伸び率などで確認されているか。ターゲット層へ最も効果のある広告宣伝費とは何かを明確にすること。
販売促進費:それぞれの販売促進活動が売上・利益にどのように貢献するのか。それぞれの効果を定量的に測定し、最適なマーケッティングミックスを組んでいく。
ビジネスのコスト分析を通して構築される戦略の整合性、配分、優先順位などを確認し、ビジョン・目標・戦略:戦術に一貫性があるかを再確認し、一貫性が認められなければ必ず修正してください。

8ビジョン・目標・戦略を理解し、実施してもらえる組織づくり

 
各従業員の業務課題:ビジョン・目標・戦略をよく理解し、社員・役員一人ひとりの行動様式にまで反映できているか。効率よく無駄な努力の少ない組織。
研究開発部門:すぐれた人材の確保・研究テーマごとの進捗チェック、必要なヒト・モノ・カネ・情報のサポート手配。トップ、上司からの温かい励まし。
生産部門:高品質でクリエイティブな生産・生産プロセス・生産機械の開発と挑戦
     根幹にかかるノウハウの継承、人材の育成。
事務部門:自分の顧客は会社の外部ではなく、内部にある。アウトソーシングしてもそこに負けないクオリティと生産性を示せるか。創意工夫を毎日積んでいる人びとは、たとえ会社がどうなっても世の中に必要とされる人材です。
販売部門:セールスマンの業務課題:
既存顧客用:訪問頻度・提案・整理棚・情報収集 
新規顧客用:優先顧客開拓・訪問頻度・訪問時の活動・販促
ブランド変更順位:1訪問頻度2価格3納期4サービス5品質デザイン1と2で80%
ロスト顧客分析:1担当セールスが変わった2いつのまにか3他社のコネ以上で80%
顧客の分析:顧客に定期的に自社と競合他社のセールスマンの評価をしてもらってください。 訪問頻度、活動内容、クレーム対応、納期、安全性、利益率5非常に良い4よい3普通2悪い
セールスマンの時間行動分析;移動時間35%資料作成会議35%商談販促等30%
セールスマンの評価育成:顧客の状況を分析し、考え、次の行動に結び付けられるように育成
チェックリスト:あなたの会社の経営状態は?自分の使命:具体的な目標:目標達成するのに心にとめておくこと:心にとめて起きたい言葉;自分の強み、弱み、改善点:世界のどの国で、どの場所で、いつ 
”10年先について、毎日10分間考え続けることができる人は成功する。”??
本を読むといろいろアイデアもわく”>>(韓流時代劇監督イ・ビョンフン

BCG創設者プルース・ヘンダーソン氏の言葉

who I expect to carry the concepts of strategy beyond today's  horizon
"


注:ポートフォリオの概要 http://www.sppinc.jp/bunseki/hint/port.html
ポートフォリオは、シェアと伸び率を軸として、地域や顧客の実績値をその交点に円として描いたチャートです。
チャートは4分割され、そのエリア毎に次のような基準に照らして分析します。
エリアを4分割する2本の線は、「勝ち負けを判断する基準」としての意味を持ち、この線を引く位置は、営業あるいはマーケティング担当者によって、市場動向や営業目標などに照らして決められるものです。 1つの基準として、縦線は「ABC分析でAランクの最後に位置する顧客や商品」のシェア(または構成比)、横線は業界または自社の目標成長率を採用してはいかがでしょうか。この線を越えれば「勝ち」です!!
「分析技」における利用例1例として、『分析技』のポートフォリオを顧客分析に使えば、顧客ごとの販売額や販売内容を円グラフが、その顧客の成長度や重要度を「位置」が、明確に示してくれます。
A :   いつまでもこのエリアにいる顧客は、撤退か?現状維持か?
B :   このエリアの顧客は、いかにして構成比を上げるかが課題
C :   このエリアは激戦区。訪問頻度を上げる、滞在時間を増やすなどの深化工作を!
D :   この顧客は最重要顧客。油断して敵の侵食を受けないように!