読書余滴              平成2008年8月6日     戸張道也

1「大家さんのリスク 意外に知らない30のおとし穴 高柳義隆 幻冬社 03」

第1章 入居者がいなくなる  人口減少、不動産二極化のリスク

q1 絶対に必要なこと:安心安全な構造物であること。
   オーナー自身が基本を知り、専門家に相談・質問をする。
   建設費の四五倍かかる「ライフサイクルコスト」
   ライフサイクルコスト:建物の建築から解体処分するまで約60年間のコスト
   これを考慮しないで収支計算をしている計画書が多い。
q2 人はより利便性がよく、人気のある地域に移り住む、
   基本条件ー安全と健康への配慮
   地震が起きた際に構造上安全であること
   セキュリティがしっかりしていること
   エレベータやエスカレータの安全が確保されていること
   赤サビや有害化学物質を含まない、飲用・入浴に適した水が使えること
   水漏れ、漏電の心配のないこと
   アスベストやシックハウス対策がきちんととられていること
q4 ワンルームマンション。「宣伝文句」は「節税対策」「老後の備え」 
   豊島区の税金の上乗せ:小子化対策:供給過剰:
q5実際の寿命は60年以上  ビルやマンションを所有し続けるというのは、そ  れ相応のリスクを負担する。 「何のためにビルを持つのか」「自分は何をしたいのか」「自分のライフプランを持つ」「もしかしたら、自分の人生ではもっと優先させたいことがあるから、物件を売却」

第2章 訴えられる大家さん!   知らずに犯す法令違反のリスク

q7耐震や防災など安全性強化の傾向が強まり、オーナーの責任も増す方向に 
q8建築基準法を守らずに死傷者が出れば、オーナーも訴えられる
q10昭和56年以前の建築物は耐震診断が義務付けられている。耐震改修
q11耐震基準を満たしていなければオーナー責任が問われる
q12消防法の改正によりオーナー責任の罰金は最高1億円に
q13平成18年度から住宅用火災報知機の設置が義務付け     
q14十分な安全性を備えていなかったと判断されれば「瑕疵」扱いになる
   法律以前に、社会道徳を守るオーナーの姿勢が大事:窓からの落下事故
q14建材に含まれる化学物質が引き起こす問題はオーナーの責任になるものも。
q15アスベスト:1975年より前の建物は要注意。2006年から全面禁止
q16リフォーム:安全基準から外れるリスク:防火区画・窓の数、面積・設備等
q17建物診断、劣化診断:資産価値を低下防止対策:起こりうるリスクに対処 

第3章 がんばれ大家さん  こうすればリスクは回避できる

q20構造の耐用年数が40年だとすると建築10年設備5年が保守修繕の目安
   構造体(躯体)>骨格
   壁・床・天井>皮膚・筋肉
   設備機器・配線・配管>臓器・血管・神経
   現状把握と将来予測:適切な保守、修繕と資産価値維持
q22劣化診断が必要
   水の出が悪い、水はけが悪い
   外壁の剥離、亀裂、汚れが増えてきた
   天井や壁にシミができた
   屋上、屋根に水がたまっている
   窓と外壁の結合部分に隙間ができた
   金属部がさびている
q24耐震診断
   予備調査:設計図面、建物履歴、耐震診断要否、診断方法の検討、見積もり   その後、耐震診断>改修設計>改修工事
   昭和56年以前の建物は必ず耐震診断を。自治体の助成制度も利用
q25耐震補強:壁や柱を補強するのが主流。上層より下層。1基礎の補強2壁の補強3柱の補強4屋根の軽量化5接合部の補強6老朽化の改善。自治体の支援制度
q26大規模修繕工事:10−15年ごとにまとめて行う。工事は入居したまま行  う。修繕計画は新築時に立てる。中古物件は修繕履歴をチエックしてから購入q27入居者からのクレームが一番多いのはは水。更新は20年が目安だが、日ご   ろのメンテナンスが長持ちの秘訣。給排水管:サビ・スライム      q29メンテナンスのコスト削減に近道なし。長期計画にもとづいたこまめな点検おわりに
一般の方にとって、建物はただの無機質な構造物でしかないでしょう。しかし、建物の裏の裏まで見てきた人間にとっては、建物もひとつの生命体のように思います。人が心をこめて手入れをしている建物には、眼に見えない「気」みたいなものを感じます。「企業をつくるのは人、経営を支えるのは和、技術を高めるのは心」
はじめに
ビルやマンションの経営、運営には、さまざまなリスクが潜んでいます。「法律。景気・」「絵に描いた餅のような収支計画」「ライフサイクルコスト」
監修:内山東平 東京大学情報システム本部特認教授
著者:高柳義隆蟠和コンサルタント相談役前代表取締役社長技術士(建設部門)株式会社協和コンサルタンツ 渋谷区笹塚     
 本書は以上のように日ごろ等閑視していた事項について詳しく記述されています。不動産経営につて、専門家に相談しつつ、オーナー自身が注意深い管理を行うべきことを説いています。特に大家と店子との交流、心配りを強調しています。
不動産投資は長期投資ですから、十分なリスク管理が重要です。本書
は実務的で
示唆に富む本です。    公認会計士・税理士 戸張 道也 

2 僕が不動産ビジネスであたり前だと思うことについて・松岡哲也・幻冬社・

 
お客様は二階に上がらない:資本主義社会が成熟すると、流行っている店舗は路面             を目指すようになる
天井の高いは七難隠す:天井が高いと「気持ちよさ」を感じる
シヨーウインドーは前面通りに:歩道ぎりぎりまでショーウインドが迫っている 土地を買って土地を貸す:土地だけ購入し、その土地をテナントに貸し、建物、設備はテナントに作ってもらう。形あるものは必ず壊れる。消えてなくなる建物に投資し、借金を返し続ける。理屈に合わないと私には思える。(著者の会社の方針)
テナントはいつまでも居るわけではない:「テナントさんは必ず出て行きますよ」
迷路のある建物では、モノは売れない:こんな建物を作るスター建築家たち。商品がきちんと視野に入り、店の看板が見えて、お客が目的の場所を把握しやすしてあげる。それが原理原則である。
オフィスビルは入居者が見栄「矜持」を張る道具である:デザインフィーをケチってはだめである。色気が大事。一日の大半を過ごす利用者、訪れるお客様のため。
主婦にとって毎日の買い物は苦痛である:利便性。価格と品質。人が多く住んでいる土地で、幹線道路に面した土地。
飲食ビジネスはバカになれなければ成功しない:創業者が自ら店頭に立って店舗を大きくしてから、オーナー経営者として他人に任せるようになっている。
東京は日本ではない:ニューヨーク、パリ、上海等
日本で海辺のリゾートは成功しない:高温多湿・蚊・オープンエアーが楽しめない。高温多湿の日本に向いているのは温泉リゾート。
先住者が発展を拒む町は必ず栄える:ひっそりとしたところに、小さくてお洒落なブティツクやカフェがぽつりぽつり「ひっそり感」訪れる人同士が気を遣い合う。
「まちづくり」にロマンはいらない:一不動産会社にできることではない。
日本には毎日の買いものに困る人はほとんどいない:マーケティングの基本。利用者や消費者の目線で内側から眺め喜んでもらえるもの。内装は洗練されていて、サ−ビスは行き届き、当然味もいい。
投資の基準は「あたり前」:土地は買う。しかし、商業施設としての建築物は、テナント側に建ててもらう。収入は借地料でもらう。それがもっとも安全な投資方法
あとがき「あたり前」は美しい
私が思っている「あたり前」は、世の中では「あたり前」ではないらしい。

えがきにかえて:「日本の未来は ウォーウォーウォーウォー」モーニング娘の「loveマシーン」(1999年)を聞いて、翌年退社、「日本商業開発蝓廚鯲ち上げた。著者:松岡哲也・1961年生まれ・同志社大学商学部・名古屋証券取引所セントレックス上場。「不動産であろうと「あたり前」に物事を見つめ行動していくこと」を指針とする。自分の欲望に忠実であることは、それほど悪いことではないと思っている。私の会社では「あらゆる欲望は肯定する」と宣言。
資本金194百万円・社員24名・平均年収841万円
この本で、若い経営者から見た不動産ビジネスの見方がわかります。