会計とはなにか 公認会計士・税理士 戸張道也
1・企業活動とは何?
企業活動とは何かを考えて見ましょう。
小売業 例えば、書籍小売「文教堂」は、
書籍・文房具を仕入れて、店頭で販売します。
製造業 例えば、「ミツトヨ」は、
材料を仕入、部品製造を委託し、労務人件費を支払い、その他諸経費を払って「測
定機器」という製品を製造し他の企業に販売します。
サービス業 例えば「写真のたなかや」は、
家族写真、就職写真、結婚写真などを撮影し、現像し、編集して、顧客に提供しま
す。
学校は、設備(教室・運動場等)を設置し、教職員を雇用し、学生に教育をします。
授業料も徴収しますが、国の補助金も受け取ります。
企業活動は、
小売、製造、サービス等の企業活動により、企業は収入を得て現金化する。
人に対しては、給料を払う。
材料、部品に対しては代金を払う。
銀行借入金に対しては利息を払う。
店舗・設備の持ち主には賃借料を払います。
収入と支出の差額として利益を得て、利益の一部は配当として株主に支払い、一部
は税金として政府・地方公共団体に支払います。
残った利益は企業内に留保したり、新規投資に充てたり借入金の返済資金としま
す。
学校は収入と支出の差額の利益を目的として活動しませんから、企業ではありませ
んが、類似の経営活動があります。
企業は利益を目的の重要部分としていますが、学校は教育が目的です。
2・会計の役割とは?
企業活動の成果を金額で表現します。
そのため活動内容を記録し、集計し、分析します。
また金額で事前に将来の活動を計画します。
会計記録は証拠書類によって確認されます。
記録、集計、分析には、コンピュータシステムが道具として使われます。
会計は必ず利害関係者に報告されます。
会計は報告される前に第三者により「監査」されます。
学校でも会計の役割は重要です。機能も同じです。教育活動の状況と資産や基金
の状況が関係者に報告されます。学校法人会計のルールに従います。
3・会計のルールとは?
会計は商法・会計原則等のルールのしたがって計算され、報告されます。
会計のルールはほぼ、世界的に同一の会計原則・基準に従います。
企業活動は世界的規模で行われる場合も多く、共通のルールに従わないと、企業
価値の比較が出来ません。
4・会計の基本構造は何?
収益-費用=利益 損益計算書
資産=負債+資本 貸借対照表
期末資金=期首資金+資金の流入(入金)−資金の流出(出金) 資金計算書
これらは、簿記、会計学という分野で勉強することになります。
5・企業の経理担当者とは?
経理課長・係長・主任・係員のように、企業の規模により組織構成は異なります。
企業の社員総数に比較すると人員は少数です。
小規模企業の場合は
経営者本人や家族が分担することが多いようです。
経理担当者は金銭や、企業の内部秘密情報も扱いますので、人柄がよく正直で責
任感があり、コミニュケーション能力のある人が望まれます。企業秘密を厳守するこ
とが重要です。
企業の経理内容は、一定の様式とルールにしたがって、銀行等の債権者、株主、政
府に報告されますが、それ以外は企業内の重要機密事項として扱われます。
企業は国内、国外の他企業と常に競争しながら、継続している存在です。多くの企
業秘密を持っています。
しかし、国・地方公共団体、PTA、町内会のような組織で税金や会費で運用される
組織は、活動の透明性が強くもとめられます。
6・会計の専門職業とは?
会計を専門としている職業は、公認会計士、税理士です。職業とは、報酬を得て継
続的に業務を遂行することです。
これらの職業専門家は国家試験により合格者を決め、一定の職務経験を経て、活
動が許されます。
受験資格:公認会計士には特にありませんが、通常大学卒業後、さらに専門学校、
会計大学院に学んでいる人が多いようです。合格率は、過去実績7%前後です。
税理士は大学卒業でなくても、経理会計実務従事3年以上で受験できます。受験科
目を一つづ重ねて、数年で全科目合格のうえ、税理士資格を取得する方法もあり、
実務に従事しながらの受験に配慮しています。
公認会計士は合格後、税理士資格は無試験で得られます。監査法人に就職し、大
企業等の監査業務に就く場合が多いようです。個人開業は、税務中心か、不動産鑑
定士・コンサルタント・コンピュータ技術等の特殊能力を活かして行います。
税理士は合格後も、そのまま企業に勤める人、会計事務所・税理士法人に勤務す
る人が多いようです。個人開業も多いのですが、顧客獲得に苦労しますので、税理
士資格以外の能力も必要です。今後は、会社等に勤務しながら、専門知識を活用す
るケースも増加すると思います。
これらの職業専門家は、厳しい職業倫理を守ることが、法律的、社会的に要求され
ています。それによって社会の評価と信用が得られるのです。
7・用語 の意味
企業 生産、サービス、販売等を組織的に行う法律上、経済上の
存在
コンピュータシステム コンピュータという機械と、コンピュータを目的により動かす
ための仕組・プログラムの全体。
証拠書類 会計上の取引を証明するもの。例えば、領収書、請求書など。
監査 会計記録が適正であることを証明するための行為。重要な企
業については、監査法人、公認会計士専門職業によって行わ
れる。
利害関係者 企業の経営者、社員、債権者、株主、政府等のグループ。企業
と法律上経済上関係している。
会計 企業活動の成果を計測し、記録し、分析し報告する。
企業活動を事前に計画し、予算を作成する。
証拠書類 会計上の取引を証明するもの。例えば、領収書、請求書。
監査 会計記録が適正であることを証明するための行為。重要な企業につ
いては、専門的に監査法人、公認会計士によって行われる。
商法 企業活動の主体、取引、株主、経営者等の関係を規定する約束事
である基本的な法律。
会計原則 会計取引の記録・計算・表示に関する規則・ルール。
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