新会社法とは
「会社法」は2005年7月公布、2006年5月施行された会社の基本法です。 会社数300万社以上、内上場会社3800社、大会社(資本金5億円以上または負債200 億円以上)11000社、有限会社193万社です。大部分は中小会社で構成されます。
1.現代語化
商法から会社に関する部分を取り出し、有限会社法等と併せて「会社法」として、現代語化 されました。
2.現代化
本質的な部分は先進諸国と共通ですが、大規模会社については、近年の改正の集大成として、中小会社については規制緩和的な改正となりました。「ベンチャー企業の支援」と「定 款自治拡大」の視点が重要です。
3.有限会社はどうなるのか?
「株式会社」法制に一本化し、有限会社制度は廃止されました。 有限会社は「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)により会社 法上の株式会社ですが有限会社(特例有限会社)の商号で存続します。(経過措置) 明治32・3・9法律48号商法制定以来の大改正ですから、この際自社の定款、商業登記謄 本を再見しておく必要もあるでしょう。***
4.新会社法のなかでの特例有限会社の法制度は?
出資社員数の制限(従来50人)がなくなる。*** 議決権制限株式のような種類株式の発行ができる。 特例有限会社の役員の任期は現行どおり期限がない。***利点 会計監査人・会計参与制度は適用がない。 計算書類の公告は不要。***利点 株主全員の同意により、株主総会開催と報告を省略できる。 法律上は株式会社で、商号は有限会社のままです。商業登記簿・印鑑証明。 機関設計は取締役のみか取締役+監査役の2形態。 2006年4月期決算までは、旧法の規定により計算書類が作成される。(様式が変わる) 特例有限会社の定款は「そのまま」「ないものとする」「読み替え」(整備法)に扱う。 この際定款を見直して、適正なものにする。非公開株式会社は特に緊急重要事項 です。 有限会社も社債発行ができる。但し社債管理者。 有限会社の公告方法は定めがなければ官報となる。
5.非公開株式会社はどうなるのか?
譲渡制限株式会社(非公開会社)が認められます。
(1) 取締役は1人でもよい。***社長一人で取締役会なしもok。 (2) 取締役会を置かないことができる。シンプルな会社にできる (3)、取締役の任期を10年に延長することができる。***定款変更事項 (4) 代表取締役は不要にできる。 (5) 取締役を株主に限定することができる。 (6) 監査役を置かないことができる。***定款変更事項シンプルな会社にできる。 (7) 決算公告の公開義務がある。*** (8) 取締役は1名でよいことになり、名目的でも取締役に選任されている 場合、責任追 及される恐れがある。***定款変事項・親戚、友人に役員就任を頼む必要がない。
(9) 相続や合併など(譲渡以外の理由)による株式移転を会社が承認しな いことを可能 にできる。後継者以外の者に相続される株式を議決権 制 限株式としておくという方法も可 能となる。***種類株式の活用で相続対策ができる。議決権・配当等。 (10)新会社法による株式会社は、資本金1円での設立が可能。設立資金が不要になる。 (11)発起設立による設立の場合、株式の払込みについて、銀行や信託会社 による払込 金の保管証明が不要となり、払込みがあることの証明方法に ついては、残高証明など任 意の方法でよい。登記手続きが簡単になつた。 (12)類似商号規制は、登記手続きの簡素化等から廃止。「会社の目的」に ついて記載基 準を緩和し、具体性を必要とせず、「商業」や「商取引」 などの抽象的・包括的な目的の記 載の登記ができる。登記手続きが簡単になつた。 (13)会計参与制度 会社の信用力を高めることを目的とした会計参与制度を導入。 会計専門家(税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人に限る)が 取締役と共同で 計算書類を作成する制度。会計参与は、株主総会にお いて、計算書類に関する株主から の質問に対し説明する責任を負い、 計算書類を5年間保存し、株主・会社債権者の計算 書類の閲覧請求に 応ずる。取締役会設置会社で、会計参与を監査役の代わりとすること ができる。会計参与の設置は会社の任意。 (14)計算書類の公告は義務づけられ、官報、新聞、電子広告、電磁的方法 によることが できる。電磁的方法:ホームページに掲載:懈怠には過料 が課される。***定款変更 事項 (15)計算書類(決算書類)の内容は変わる。B/Sは資産の部・ 負債の部・純資産の部に 区分。P/Lは売上総利益金額・営業利益金額・経常利益金額・税引前当期純利益金額・当 期純利益金額(当期純損失金額)に区分。利益金処分案は廃止され、株主資本等変動 計算書となる。B/SやP/Lの注記は注記表にまとめて記載する。 (16)剰余金の配当は期中いつでも何度でもでき、現物配当も可能。*** (17)株主総会の決議により、いつでも、いくらでも資本の部の計数を動かすことができる。 資本金の増減。*** 6.特例有限会社を通常の株式会社へ移行 商号変更して通常の株式会社に変更できるが費用が発生。 定款を変更して取締役の任期・取締役の数・取締役会・代表取締役・監査役・会計参与 ・公告の方法等を定める. 7.特例有限会社の組織を変更して合同会社にする。 費用が発生。 8.合同会社とは? LLC(合同会社) 新会社法において導入された法人形態。社員(出資者)の有限責任を確保し、会社の 内部運営は組合的な柔軟さが適用され、定款の変更や会社のあり方、利益の配分などは 全員の合意で決められる。専門職業の個人・法人同士が出資して行う共同事業に適してい る。***出資比率によらずに利益分配できる。有限責任で法人格を持つ。 tobari−kaikeiホームページ「こすもす情報」の改正商法の項参照。
会社法改正 日本公証人連合会の解説で す。わかりやすくやや詳細です。
会社法 ニッセイの便利帳です。会社 法の条文参照が便利にできます。
改正会社法の質疑応答33問 中小企業庁作成。
改正会社法 法務省のトピックスの中に一連の情報がありま す。改正会社法対応定款 東京商工会議所で公開してい ます。 |