同族会社
同族会社とは
法人税法の規定
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところ による (略)
十 同族会社 会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合の その会社を除く。)の三人以下 並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発 行済株式の総数又は出資金額(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。) の百分の五十を超
非同族会社と比較して、同族経営者の任意意志決定が行われ、税務上の公平性 が損なわれることを考慮して、法人税法上の規制が定められている。
1.同族会社の行為計算の否認 2・同族会社の留保金課税 3・役員給与の規制 4.特殊支配同族会社の給与のうち給与所得控除額相当額の課税(新設)
1 特殊支配同族会社の業務主宰役員の給与のうち給与所得控除相当額を法人 税等の対象とする改正(法人税法改正)特殊支配同族会社
この名称のとおり、的を絞った会社を定義していて、名称からは、きわめて特殊会 社と思われますが、実際、特に首都圏においてはかなりの数の家族経営同族会社 が対象となります。除外されるのは同族でない株主が10 %を超える会社ですが、中小企業の経営は同族従業員により成り立っていますの でほとんど該当します。
業務主宰役員
主宰者、代表者、社長です。給与の最高額を受ける役員1名となります。この代表 者が受け取る給与の総額に対する給与所得控除を下記の条件で法人税の対象と します。ほぼ200万円前後ですから、法人税負担は一社あたり、約80万円増加し ます。増税金額は、法人所得に比例せず、主宰役員の給与が同額であれば、法人 所得100万円の会社も2000万円の会社も同金額です。
基準所得金額
基準所得金額は一見すると、法人の所得の意味と誤解されそうですが、業務主催 役員給与と法人所得の合計額が800万円を超える事業年度で判定しますから、ご く零細規模を除き、多数の同族会社が該当します。また過去3年間の平均で判断さ れますので、税務調査等による修正申告で10万円所得修正増の結果、条件に該 当した場合、4万円の負担増ではなく、給与所得控除の益金加算分で、84万円の 増加になることもないではなく、不安です。
給与所得控除相当部分=損金不算入金額
業務主宰役員給与額 損金不算入となる金額 〜 650,000円 業務主宰役員給与額の全額 650,001円〜 1,800,000円 業務主宰役員給与額×0.4 (65万円未満の場合は65万円) 1,800,001円〜 3,600,000円 業務主宰役員給与額×0.3+180,000円 3,600,001円〜 6,600,000円 業務主宰役員給与額×0.2+540,000円 6,600,001円〜10,000,000円 業務主宰役員給与額×0.1+1,200,000円 10,000,001円〜 業務主宰役員給与額×0.05+1,700,000円
通常平成19年6月末申告期限の法人(3月決算法人)から該当します。
法律施行の結果の予測
例 特殊支配同族会社で基準所得3年分平均が800万円を超える場合
1.法人所得100万円 主宰役員年給与720万円 主宰役員年給与対応給与所得控除額192万円が益金加算される。 従来法人税等40万円 改正法人税117万円 増税額 77万円となる。 (実効税率40%とする)
2。規準所得が800万円程度の同族会社も3000万円を超える同族会社も、主宰役員給与が同額(例えば720万円)であれば法人税負担増額は変わりません。小規模同族会社を対象とした一種の法人税等均等割の新設となります。およそ一社あたり平均70万円前後の税負担増が予測されます。
3.また規準所得額が、800万円未満となっていても、税務調査等(通常3年間分)による修正等で例えば30万円の申告漏れ等の発生のために3年平均規準所得800万円超になると、法人税12万円の増加だけではなく、主宰役員給与600万円の場合は、法人税は約82万円の増加となります。
結論
以上3点を考えると、租税負担の公平性と安定性並びに担税力に不安が残り、特殊支配同族会社という極めて特殊な定義のようですが、実際は多くの同族会社に的が絞られている今回の改正は、戦後60年間でも、特異なものに思われます。 課税までは1年間の期間がありますが、シュミレーション等の方法で十分な資金対策等が必要です。
対策
1.資金計画の検討 2.法人形態の検討 3.役員給与の検討 4.先行投資の検討 5・役員構成の検討 6.所得計算の検討
参考
立川法人会ホームページに税額シュミレーションがあります。 愛知中小企業家同友会HPに要望書があります。 法人会等の18年度改正要綱に対する意見書にはこれらの点に触れられていません。 国会・業界・学会等においても、本年度初頭からの諸事件の報道に隠れて論議が見えません。特殊支配同族会社という定義で特殊問題とされたようです。
(法人税) 特殊支配同族会社に該当する法人が業務主宰役員に対して支給する給与の額(以下「業務主宰役員給与額」といいます。)のうち、給与所得控除額に相当する部分の金額は損金の額に算入されません。 ただし、特殊支配同族会社の基準所得金額が800万円(一定の場合には3,000万円)以下である事業年度などについては、この規定は適用されません。 なお、この規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
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